日本の名作を読む 第14講 1 雨月物語(N)

簡単なまとめ

この動画では、江戸時代の有名な作品である上田秋成の『雨月物語』の中から「菊花の約」という短編を読み解きます。読本というジャンルの特徴、作者である上田秋成の人物像、そして「菊花の約」のテーマである信義と軽薄について解説します。物語の冒頭部分を読みながら、その背景にある中国の古典や、秋成のアレンジについて触れ、物語の舞台設定や登場人物を紹介します。

  • 『雨月物語』は読本というジャンルに属し、知識人向けの娯楽小説である。
  • 作者の上田秋成は大阪出身の国学者であり、多才な人物である。
  • 「菊花の約」は信義と軽薄をテーマにした物語で、中国の古典を基にしている。

導入:雨月物語と読本について

今回は、江戸時代の作品『雨月物語』を取り上げます。これは読本というジャンルの小説で、安永5年(1776年)に刊行された近世中期の作品です。作者は大阪出身の上田秋成で、読本作者、国学者、俳諧・和歌、煎茶など多岐にわたる才能を発揮しました。『雨月物語』は九つの短編からなる短編集で、和漢の歴史書や文学書を下敷きにしながらも、秋成独自の世界を創作しています。怪奇物語として知られていますが、人間の感情や心理も巧みに描かれており、現実世界と怪異の世界を織り交ぜた複雑な人間心理の描写が特徴です。

読本の特徴と上田秋成

読本は、近世中期に知識人の間で流行した読み物で、古典や中国の典拠を多く含み、教養層をターゲットとしていました。中国の白話小説の影響を受け、伝奇的傾向の強い作品が多いのが特徴です。『雨月物語』は読本の前期の代表作であり、後期の代表作としては滝沢馬琴の『南総里見八犬伝』があります。上田秋成は大阪生まれの読本作者であり、国学者でもあり、俳諧や和歌、煎茶なども嗜む多才な人物でした。

「菊花の約」のテーマと出典

今回は、『雨月物語』の中から「菊花の約」というお話を読みます。この物語のテーマは信義、友情であり、約束を守るかどうかという信義と軽薄について考えさせられる内容です。元々は中国の白話小説『古今小説』に収められている「范巨卿鶏黍死生交」という物語がベースになっていますが、秋成は独自のアレンジを加えています。

「菊花の約」冒頭部分の解説

物語は「青々たる春の柳、家園に種ることなかれ。交わりは軽薄の人と結ぶことなかれ」という印象的な言葉から始まります。これは、春に青々と茂る柳を庭に植えるべきではないように、軽薄な人との交わりは避けるべきだという意味です。この部分は中国の典拠を踏まえていますが、登場人物に独自の設定を加えるなど、秋成のアレンジが加えられています。柳は春には茂るものの秋の風には耐えられないように、軽薄な人は交わりやすいがすぐに絶えてしまうことを示唆しています。

物語の舞台と登場人物の紹介

物語の舞台は播磨国(現在の兵庫県)の加古川です。加古の宿に丈部左門という学者がおり、彼は清貧に甘んじ、学問に励む日々を送っています。彼の母は孟子の母のような賢母で、糸繰りや機織りをして左門の生活を支えています。妹は同じ里の佐用家に嫁いでおり、佐用家は裕福な家柄です。佐用家は丈部家に物を贈ろうとしますが、左門は「生計のことで他人の世話になるつもりはない」として、決して受け入れません。

Summarize any YouTube video in seconds

Get summaries like this one for any video, in your language, with the free Summ app.

Download on the Apple Store
Get it on Google Play

文字起こし

YouTube Transcript Generator

0:00 はい、こんにちは いよいよこのシリーズも最後のお話になりました 今日は『雨月物語』というね これも非常に有名な江戸時代の作品ですけれども これを読んで最後にまた この物語も色々考えさせる物語ですので 皆さんでね、色々考えて またご意見をお聞きしたいと思っています 今日扱う『雨月物語』 まずね、文学史的な基礎知識を抑えていきましょう ジャンルは小説になります 小説の中でも細かく区分すると 読本というジャンルになるんですね 前回読んだ西鶴の『浮世草子』でしたね 浮世を描いている『浮世草子』でした 今日のは読本というんですね

0:46 これについては、また後でね、説明します 成立は、安永五年1776年の刊行 大まかな区分でいうと、近世ということになります 近世、江戸時代というのを前期・中期・後期の 3つに大まかに分けるとすれば これは近世の中期ですね 中期に成立した作品ということになります 作者は上田秋成、聞いたことありますか 上田秋成、皆さん、これ大阪出身の方ですから 是非ね、覚えておいてほしい作者です 上田秋成の代表作品なんですね ではまず、この読本というのは なんぞやというところから見ていきましょう 読本というのは、近世中期に知識人の間で

1:32 流行した読み物なんですね 知識がある人、教養がある人達が 楽しんだ娯楽の小説なんですね どういうところがこの知識人に受けたのかというと これは非常にたくさんの典拠があるんですね 古典とか中国の典拠もあり 日本の典拠もありってね そういう非常に教養層をターゲットとした読み物なんですね 影響としましては、中国のものの中でも 白話小説という口語で書かれている 口語体を取り入れた小説があるんですね これがこの近世中期に日本に入ってくるんですね ああ、こんな面白いものがあるのかいうことで それを踏まえた また、新たな物語というのが創作されていくんですね

2:21 例えば、皆さんが聞いたことあるかなというようなところで言うと 『水滸伝』聞いたことがありますよね 例えばこういうものです 白話小説、例えば なんていうですね 非常にストーリー性のあるですね、物語が入ってくる訳ですね 『水滸伝』なんていうものの影響を受けて 伝奇的傾向の強い作品が多いと 伝奇の奇というのは 例えば、これは怪奇の奇ですね

3:08 また、こういったお話を奇談という風に言いますけれども 各地で不思議なお話というのが伝わっていたりしますよね そういう怪奇、ちょっと不思議なことが起こると そういう不思議なお話というそういう傾向が強い 物語、ストーリーというものが多いです この読本というのも前期と後期に分けますとね この前期の読み物の代表が『雨月物語』 今日読む『雨月物語』になります 後期の代表作が『南総里見八犬伝』 これも聞いたことある人いてるかな 滝沢馬琴の代表作です 非常に長編小説なんですけれども この『南総里見八犬伝』と『雨月物語』というのが 前期と後期の2大代表作ということになる訳ですね

3:57 今日はこの『雨月物語』を読んでいきます 作者の上田秋成です この人は、今申しましたように大阪生まれの読本作者 そして国学者でもあります また、俳諧や和歌 あと、お茶、煎茶なんかも嗜んでいて 非常に幅広い面でね 才能を発揮した人物です この『雨月物語』は秋成の一つの代表作でもあるんですけれども この『雨月物語』というのは 中身、九つの短編を集めた短編集ですね それぞれの短編が非常に面白い 是非読んでほしいですね それぞれの短編が和漢の歴史書や文学書を下敷きにしている

4:43 そういう古典ですね 中国・日本の古典というものを巧みにこう踏まえながらですね しかし、それのパロディとか二番煎じという訳ではなくて 秋成が独自の世界を作り上げているという、創作しているという そこに秋成の手腕、才能というものの凄さというものを 見ることができると思います 基本的にはですね 『雨月物語』とは何かあの怪奇物語ですね という風に見られがちなんですけれども もちろんそういう面はあるんですけれども 怪奇というだけではなくてね そこに人間の感情と心理というものが 絡み合っているという 怪奇現象が起こるから怖いとか

5:29 不思議とかいうだけではなくて 人間の心の不思議さとか怖さとか そういうものもこう巧み描き出しているという そこに『雨月物語』がやはり前期読本の代表作たるゆえんが あると思うんですよね 現実世界と怪異の世界を巧みに織り交ぜて 複雑な人間心理を描写していると 今日読みますね、お話もこの なんかね読んだ後ね、うーんと考えさせられる話なんですね ですから、また皆さんの感想やコメントを 是非是非楽しみにお待ちしておりますので 皆さん、色々寄せてくださいね さあ、今日はですね、この『雨月物語』の中から 「菊花の約」というお話を読んでいきたいと思います

6:18 このテーマになるのが信義、友情ですね 二人の男が出てくるんですけれども、その間での約束ですね それを守るかどうかというその信義 そして軽薄ということを絡めてくるんですね、秋成は 信義と軽薄ということについて考えてみたい これは元々ベースとしている中国の白話小説がありまして 『古今小説』というところに収められている 「范巨卿鶏黍死生交」という これを出典、典拠としているんですけれども だけれども、ある程度踏まえながら やっぱり変えているんですね ちょっとアレンジを加えているという そこに秋成の創作力というのがあると思います

7:06 興味を持った方は、是非この『古今小説』というのもね、見てみて そして秋成がどう変えているかというのを 読み比べてみるというのもね 面白い読み方だと思います さあ、今日はちょっとそこまでは深入りはしませんが この「菊花の約」のね ストーリーを追っていきたいと思います さあ、こういう風に始まるんですね ちょっと意味深な冒頭文から始まります 読んでみましょう 「青々たる春の柳、家園に種ることなかれ 交わりは軽薄の人と結ぶことなかれ」 という風に出てくるんですね 春になると、柳が青々と美しいね、柳の緑ですよね その青々とした春の柳は 「家園」、家の庭に植えてはいけないよということから始まるんですね

7:56 「交り」は交際ですね、人との付き合いというものは 軽薄の人と結ぶことなかれと それはそうかなと思いますよね 軽薄な人と付き合ったらあかんで、という風に言っている訳ですね ここの部分はね この実はこの中国の典拠を踏まえているんですね そこのところにもこういうことが書かれていますので これを用いて始まっているんですけれども この後の展開ね、この後の展開が ちょっと登場人物に独自の設定をつけたりして 変えていっているんですね ちょっと戻りまして 「交わりは軽薄な人と結ぶことなかれ」と そのあと、「揚柳茂りやすくとも、秋の初風の吹くに耐めや」と

8:43 柳は茂りやすいけれども とはいっても 秋になって風が吹いたら耐えることができるだろうかと いやいや、秋の風に耐えることはできないよということですね 「軽薄の人は交わりやすくして亦速なり」 軽薄の人というのは 交際するのは簡単やと簡単に友だち、知り合いになれると だけれども、その付き合いが終わってしまうというのも また速やかなりと すぐにその交わりが断たれてしまうというのも すぐに断たれてしまうよと、浅い付き合いですからね

9:32 交わり また速やかなりと 柳は春にワ~ってね青々と茂ってても 秋になると急にパ~っとね、枯れてしまうようにですね 同じように、軽薄の人というのも最初はワ~っと連絡取って ワ~と盛り上がったとしても パタンとね、お付き合いがなくなって絶えてしまうと 軽薄だからということを言っている訳ですね 「楊柳いくたび春に染れども、軽薄の人は絶て訪ふ日なし」 その後、柳がですね 何度も何度も春になったら葉を美しく また芽吹いてくるということですね なんだけれども、軽薄の人は絶えて訪ふ日なし と 軽薄の人はもう絶対に一度と二度もね

10:19 二度とやってくるということはないんですよ という風に始まるんですね さあ、こういう前置きがあってお話が始まります この前置きどういうことを言おうとしているのかなということですね それをちょっと頭にやっぱり読者としては置いてしまう訳ですよね それを意識しながら、さあどんな物語が展開していくのかというと 舞台がこれ播磨国なんですね ですから、中国を日本に置き換えている訳ですね 加古川です 加古の宿に、これ加古川ですね 皆さん近いですね 加古川に、丈部左門という学者がいた

11:06 この学者は「清貧に甘んじて、日夜親しむ書物のほかは 家財道具一切を煩わしがって置かなかった 老母は孟子の母のような賢母で 糸繰り・機織りをして、左門の理想を支えた」ですね この丈部左門という人は 清貧甘んじていると、貧しくともですね 学問をしっかり修めればいいんだというそういう ちょっとした志の高さというものを持っている人だった訳ですね お母さんもそういった丈部左門の学者としての生き方というのを しっかりね、こういった糸繰りや機織りやというね そういうお仕事をしながら支えていたと

11:52 このお母さんは 孟子の母のような賢母という風に書いていますよね これちょっと知っておいた方がいいね 孟子の母のような賢母というのは、これ有名な言葉で 「孟母三遷の教え」ね「孟母三遷」という言葉があります 孟子というのは中国で有名な思想家 孟子とか老子とか荘子とか孔子とか 子と名前のつく人達、聞いたことがありますでしょう そういう孟子ですね、孟子のお母さんは 自分の子どもの教育のために 環境が大事ということで 3回引っ越しをしたというね

12:39 そういう教育熱心な母ということなんですね そういう教育熱心なお母さんのことを 「孟母三遷の教え」とかね、「孟母三遷」という風に言う訳ですね そういう学者としての丈部をですね、左門をですね しっかりと支える 孟子の母のような賢母でですね、しっかりと支えていたんだよと 妹さんが居てる訳ですね

13:24 「妹は、同じ里の佐用家に嫁いだ」と この佐用家は裕福な家ということですから 貧乏な貧しい、慎ましい暮らしをしている佐用家 丈部家とはちょっと違う訳ですけれども、丈部母子 母子の立派な人柄を敬慕して 妹を嫁に迎えて親戚となったということですから 丈部家というのは、貧しいつつましい暮らしをしているけれども そういう人柄がね 非常に優れた人々達だということなんですよね 妹さんもですね、そういう立派なお家に嫁ぐことができたと 妹を嫁に迎えて親戚となったのであり この佐用家は豊かですから

14:10 何かにかこつけては物を贈ろうとすると そういう慎ましいね、暮らしをしている丈部家なんですけども うちは色々余っていますから、と色々送ろうとするんだけれども 左門は「生計のことで他人の世話になるつもりはない」と 決して受け入れなかったという清貧な人な訳ですね 人柄が非常に、自分の道というものをしっかり守っているというね そういう人柄であったということがここで描かれる訳ですね さあ、この後、どうなっていくのか 信義と軽薄というのは、どういう風に物語を展開させていくのか というのを続きを読んでいきましょうね 一旦ここで切りますね

Share

YouTube動画の要約