0:00 第二講は『竹取物語』を一緒に読んでいきたいと思います 改めて『竹取物語』知っているよ という風に思われた方が多いと思います かぐや姫のね、竹から生まれたかぐや姫が 月に帰っていく話でしょうという風に 皆さんご存知だと思うんですけれども 改めて大人になって、この『竹取物語』を読んでみると 何か結構色々考えさせられるところが多い話なんですよね 最近ではですね、このアニメ映画を見た人もいてるかな 高畑勲監督が『かぐや姫の物語』ということで この『竹取物語』を素材にして、色々なメッセージ性を込めた
0:47 映画をお作りになられたということもあります 本当に、色んな視点から考えることができるお話ですので 改めて読んでみて皆さんも 今回はちょんみりですけれども、読んでみて どういう風に思われるか、色々感じたこと、考えたこと またコメントを寄せていただけたらなという風に思います では、いつものように基本知識から押さえていきましょう ジャンルはこれは言わなくても分かりますね 物語でよろしいですね 成立は、今回から平安時代に入っていきます 平安前期の900年ぐらいなんですけれども、平安という時代は 時代区分でいうと中古という風に言われます、中古ですね
1:35 そして作者はよくわかっていません 文学史的に押さえておきたいポイントは これが現存最古の作り物語であるということです 今残っている一番古い人間が作った物語ということですね 人間が作った人間が主人公の物語ということです 前回読んだ『古事記』はあれは神々の物語でしたね そして氏族とか土地土地に語り伝えられてきた伝承だった訳です 伝説的なお話だったんだけれども これははっきりと人間が創作した物語ということなんですね 残っている中で一番古い人間が作った物語なんだよと
2:22 そのことは平安時代の人々も認識していたようで 源氏物語の中で「物語のいできはじめの祖」という風に 紹介されているんですね 物語ができ始めたその最初の祖と、これは祖先の祖ですね 物語の祖先だよという風に紹介されていますから 元祖、元祖の物語という風に紹介されています ですからこれは人間が創作したドラマというものですよね、フィクション よく今でもドラマを見たら、番組の最初とか最後に これはフィクションですと、実際の人物には関係ありませんとか
3:11 そういうことが字幕で出たりしますね ああいうものと一緒です 人間が最初に作ったドラマということです 昔の日本人はではどんなドラマを作ったのかしら、ということですよね ちょっと興味が湧いてきましたか そういう風にどういう物語を作って それでどういうことを伝えようとしたのか 何を面白いと思って物語を作ったのかということですね どういうメッセージ性を込めたのかな、なんて色々考えながら 一緒に読んでみたいと思います 内容は大きく分けると3つです まず、かぐや姫が生まれます、発見されます 成長して、美しく成長したかぐや姫に 五人の貴公子達が求婚すると しかしうまくいかないですけれどね 最後は帝も登場して、帝も求婚するんだけれども叶わず
4:01 かぐや姫は天に帰っていってしまうということでしたね そういう大きく分けて3つのストーリーになりますが 今日はそのうちの、この①と②のところをかいつまんで 要点を押さえながら読んでみたいと思います ではまず、かぐや姫の生い立ちのところから見ていきましょう 『竹取物語』はこういう風に始まっています 中高の古文の授業で読んだことあるなという人もいるかもしれません 一番最初の書き出しはこう始まるんですね 「いまはむかし、たけとりの翁といふものありけり」 今となっては昔のことだけれども 竹取のおじいさんという人がいました そのおじいさんは「野山にまじりて竹をとりつつ」
4:50 「よろづのことにつかひけり」 野山に行って竹を取りながらですね 全て色んなことにその竹を使っていました だから、竹を取るだけじゃなくて それを加工して、籠を編んだりとかしていたのかもしれませんね 色んなことにして使っていたんですよ、と そのおじいさんの名前は「さぬきのみやつこ」という 実は竹取のおじいさん、お名前を持っていたんですけれども 名前ですね というお名前がありました、と その竹取の翁が取っている竹の中に もと光る竹、根元が光る竹が一すじあった 光っている竹があったということですね だから「何だ、あの竹は」という風に
5:37 怪しい、不思議やな何だろうなと思って近づいてみると その竹の中、筒の中が光っている それを見ると、「三寸ばかりなる人、いとうつくしうてゐたり」 三寸ぐらいの人、これはちょっとおさえておきましょうね 三寸、一寸、一寸法師の一寸ですね 一寸というのは現代でいうと だいたい3センチぐらいという風に考えてください ですから三寸なので、3✕3=9センチぐらいということですね 10センチ弱ぐらい ちょっと皆さん手で10センチぐらいやってみてくださいね それぐらいの人が竹の中にですね とってもうつくしう、状態ですね、うつくしう状態でいたということですね 「うつくしう」というのは、何か古文の授業みたいですけれども
6:27 現代語のビューティフルとちょっと違うニュアンスもあるようで 大事だよという風に勉強しましたね 「かわいらしい」やったね とっても、10センチぐらいの小さい人が とてもかわいらしい状態で 「ゐる」というのは居るだよね、座っている ちょこんと座っていましたよということです かわいいですね ということで、かぐや姫が翁に発見されるということから 物語が始まっていくんですね ここでちょっと注目ポイントは、この書き出し 「いまはむかし」という風に始まっていますね 今となっては昔のことだけれど
7:18 現存最古の物語は、もう今となっては昔のことだが という書き出しを持っていたんですね これは今でも伝わっていますよね 昔ばなしをするときに 「むかしむかしあるところにおじいさんとおばあさんが~」 という風に始まりますよね 今でも「むかしむかし」という、あの元祖ですね 原点というのは、もうこの『竹取物語』の中にあるということです 今となっては昔のことだがと、なんでこんなんつけているんでしょう さあ、色んな考え方ができると思うんですけれども 一つにはこれが架空のフィクションのドラマだということと 大きく関係がありますね
8:04 例えば「2021年4月何日大手前大学で」と言ったら超現実的ですよね とてもリアルな感じがするんだけれども そうじゃなくて、もういつのことかもわからないんだけれども 昔こんな事があったんだよという風に 時間をまずボヤっとおぼめかすことによって 現実とは違う、現実味をちょっと離れた 架空の舞台を設定することができる訳です 創作の舞台、物語世界ですよね 創作の物語世界というものを作る そういう設定をしている訳ですね
9:02 時間や舞台 これは架空の話なんですよという風に 一つの物語の空間というものを作り出している訳ですね ドラマの空間というものを、ドラマの世界と言ってもいいと思います そういう物語世界を作り出すための そのための導入の言葉という風に 考えることができるのではないかなという風に思います この始まりによって聴いている人達の中で 架空の物語の世界が徐々に出来上がっていく訳ですね 今となっては昔のことだが そこにおじいさんという登場人物が現れて そして野山という場面ですね、舞台ができて、そして竹があって
9:48 そしてその中に小さい光り輝く女の子がいたという風に だんだんとその物語の空間が、人物や 場面、野山という場面であったり、竹という小道具であったり というので、埋められていく訳ですね そういう風に色々な設定が織り込まれていく その最初の箱を作るための言葉という風に 見ることができるのではないかなという風に思います その昔のことでボヤっとさせているんだけれども 現実味を離れてはいるんだけれども 現実世界であったことなんですよ 実際に本当にあったことなんですよということを伝えるために このお尻が「たけとりの翁といふものありけり」 という言葉で終わっていますね
10:35 ここも「けり」「けり」「ける」「ける」という風に 「けり」という助動詞が使われています 覚えているでしょうか これは過去の助動詞でしたね、受験では皆はなかったかな だけれど古文の授業でやったと思います 「き」と「けり」という過去の助動詞があるんですよと これはちょっと微妙なニュアンスの使い分けがあるんですね こういうのを知っていると また一歩深く古文を読むことができるようになりますね 「き」というのは直接経験、「けり」というのは間接経験 という風に言われていて 直接自分が経験したこと、これに使うのが「き」 直接実際に自分が目撃した過去の出来事ですね これが「き」を使って表すと それに対して「けり」というのは、自分が実際に経験したのではなくて
11:23 人から聞いたとか、そういう語り手が他者から伝え聞いた 過去の出来事に使うのが間接経験の「けり」という風に言われています 人から「昔こんなことがあったんやて」「へえそうなの」と 聞いたことをまた伝える時には 「あの時にあんなことあったらしいよ」「あったそうよ」と それは自分が実際に経験していませんよね ですからそういう時に使うのは「けり」という助動詞になる訳です 今となっては昔のことだけれども、竹取のお爺さんという人が いたらしいよ、いたそうだよという風に聞いて それを伝えているということですね また語って伝えているということなんですね 前回やりました、物語というのは物事を語る
12:09 語りが原点だという風に言いましたね この「いまはむかし」 むかしむかしあるところにおじいさんとおばあさんがおったとさ 「おったとさ」というの、これが「けり」な訳ですね 「いたらしいよ」という風に語ってお話を伝えていっている というそういう感じで この『竹取物語』も読んでもらえたらいいのではないかな という風に思います さあではその後かぐや姫はどうなっていったかと ちょっとかいつまんで見ておきましょう 小さな子はすくすくと育ち 三か月で一人前、だからすごい早いですね、娘になりました そこで、髪を束ね裳をつけて成人式をしました ここはちょっと古文の常識として押さえておきましょう 髪を束ねて裳をつけて、これで女の子の成人式なんですね
12:59 平安時代は大体13歳ぐらいで、成人式という風に言われております その時に髪を束ねるとあるんですけれども これはどういうことかというと 昔の小さな女の子はいわゆるおかっぱですね おかっぱの髪型をしていた訳ですね それがだんだん12、3歳ぐらいになったらこう伸びてくる訳です そうするとそれを後ろで束ねることができるようになってくると これで少女になる訳ですね そしてを裳をつけるということなんですけれども 裳はどういうものかというと ごめんなさい、これは皆さんのプリントにはないんですが
13:46 よくこの十二単の図は見たことがあると思います この十二単の図の後ろのこの蛇腹になっている このプリーツになっているやつですね 後ろ姿でいうと、ここにつけているものなんですけれども これを裳という風に言います これは成人すると着けることができるようになるアイテムなんですね ですから、 こういうものを着けるようになって 裳をつけて、そして成人式をしましたよ 翁は部屋から一歩も出さず、大切に もう箱入り娘ですね、育てましたと 姫の容貌は、世に類ない、輝くばかりの美しさ 翁の屋敷は光に満ち溢れていた 翁は気分が苦しい時も、腹が立つ時も
14:33 この子を見ると、心が晴れた いよいよさらに大きくなっていったので 「なよ竹のかぐや姫」と名付け、三日間お祝いをしました ここでようやくかぐや姫が名前を持つんですね 「なよ竹のかぐや姫」というこれが、お名前が付くんですね 名付けるというのはやっぱり一つ大事なことだと思います 前回読んだ『古事記』にもそれぞれの神様にちゃんとお名前がありましたよね そのお名前がそれぞれ意味を持っていましたね イザナキイザナミ、イザイザと誘い合うという 求愛し合うという名前が意味を持っていて その人の人格みたいなものを表していました そういう風に名付けるという行為というのは
15:23 他のものじゃなくて、その人にある人格を与えるとか あるいは他の人とその人を区別する 名前を付けることによって区別することができる 皆さんも一人一人お名前を持っているから 田中さん、青山さん、佐々木さんというように 区別をすることができる訳ですね そういう風に自分にとって特別なものとして 他と区別したいという思いですね それが名付けるという行為に表れてくる 翁もいよいよですね この育ったかぐや姫のことを、自分にとって大切な人だと 一つの人格として、一人前として認めて 名前を付けたということなのかなという風に思うんですね
16:09 かぐや姫と名付けて、三日間お祝いをしました さあそれでかぐや姫は美しく成長したので 五人の求婚者が現れるんですけれども さあどうなるどうなるというのは 続きの動画でまた見ていきます 一旦ここでちょっと休憩を取りますね