Sonia Shah: 3 reasons we still haven't gotten rid of malaria

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簡単なまとめ

このビデオでは、マラリアが人類の歴史において最も多くの犠牲者を出してきた感染症であるにもかかわらず、治療法や予防法が何世紀も前から存在しているという矛盾について解説します。マラリアが根絶されない理由として、科学的な複雑さ、経済的な課題、文化的な課題の3つを挙げ、これらが政治的な問題を生み出していると指摘します。過去の対策の失敗例を挙げながら、マラリアと共に生きる人々の価値観に寄り添った対策の必要性を訴え、生活様式の改善を通じてマラリアを駆逐していくことの重要性を強調しています。

  • マラリアは治療法や予防法が存在するにもかかわらず、依然として多くの犠牲者を出している。
  • 科学的、経済的、文化的な課題が複雑に絡み合い、マラリア対策を困難にしている。
  • 過去の対策の失敗から学び、地域住民の価値観に寄り添ったアプローチが重要である。
  • 生活様式の改善を通じて、マラリアを根本的に駆逐していくことが必要である。

導入

人類の歴史において、マラリアは最も多くの犠牲者を出した感染症であり、毎年3億人が感染し、50万人以上が死亡しています。マラリアの治療法は1600年代から存在し、1897年にはマラリアを媒介するのが蚊であることも判明しました。それにもかかわらず、なぜマラリアは今もなお多くの人命を奪っているのか、という疑問を提起します。

マラリアが解決できない3つの原因

マラリアが解決できない原因として、科学的な複雑さ、経済的な課題、文化的な課題の3つを挙げます。マラリアを引き起こす寄生虫は非常に複雑で、蚊と人間の間でライフサイクルを繰り返し、形態を7回も変えます。また、マラリアは貧困地域で発生しやすく、貧困がマラリアを引き起こし、マラリアが貧困を悪化させるという悪循環が存在します。さらに、マラリアが蔓延している地域では、マラリアが日常的な問題として認識され、危機感が薄いという文化的な課題も存在します。

科学的な課題

マラリアを引き起こす寄生虫は、非常に複雑で巧妙な病原体であり、蚊と人間の間でライフサイクルを繰り返します。寄生虫は形態を7回も変化させ、それぞれの段階で異なる生理機能を持つため、特定の段階に有効な薬が他の段階では効果がないことがあります。また、寄生虫は体内に隠れて検出されにくく、蚊もマラリアを媒介する蚊の種類を特定し、その生息地を避けることが困難です。

経済的な課題

マラリアは世界の貧困地域で発生しやすく、貧困がマラリアを引き起こし、マラリアが貧困を悪化させるという悪循環が存在します。貧困地域では、水はけの悪い僻地に粗末な家屋に住むことが多く、蚊が繁殖しやすい環境にあります。また、網戸や電気がないため、蚊に刺されやすくなります。マラリアは収穫時期に農作業を妨げ、経済成長を抑制します。マラリアを根絶するためには、特効薬やワクチンを開発するだけでなく、インフラが整っていない地域に届ける必要があります。

文化的な課題

マラリアが蔓延している地域では、マラリアが日常的な問題として認識され、危機感が薄いという文化的な課題が存在します。マラリアは風邪やインフルエンザのように、ありふれた病気として捉えられ、予防措置を講じない人が多いです。マラリアを抑制するためには、人々に医療機関を受診させ、診断を受けさせ、処方箋をもらい、薬を服用させ、虫よけを使用させ、蚊帳の中で眠らせる必要があります。

政治的な問題

科学的、経済的、文化的な課題が複雑に絡み合い、政治的な問題を生み出しています。マラリアが蔓延している地域では、政治指導者がマラリア対策に積極的に取り組まない傾向があります。過去の対策は、マラリア社会の外から主導されてきましたが、新たな困難を生み出すこともありました。

過去の対策の失敗

1950年代にアメリカ国務省が主導したマラリア対策は、殺虫剤DDTに依存しすぎたため、DDTが使用できなくなるとキャンペーンが崩壊し、マラリアが再発しました。1990年代後半から始まった最新の取り組みは、蚊帳の配布を中心に行われていますが、蚊帳が地域住民の生活様式に合わない場合、効果が期待できません。

マラリアと共に生きる人々の価値観

マラリアを克服するためには、マラリアと共に生きる人々の価値観に寄り添った対策が必要です。イギリスやアメリカでは、マラリアと戦うのではなく、悪い道路や住居、下水、電気がないこと、田舎の貧困といった、マラリアを生む生活様式と戦うことで、徐々にマラリアを駆逐しました。マラリアを生む生活様式と戦うことは、早くて安くて簡単なものではありませんが、唯一前進できる道です。

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文字起こし

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0:00 翻訳: Yuko Yoshida 校正: Mari Arimitsu 長きにわたる 人類の歴史において 最も多くの人が 犠牲になった伝染病は マラリアです 感染した蚊に刺されることで かかる病気で おそらく 最も古い惨事でしょう マラリアとの関わりは 類人猿から進化して以来かもしれません 今でもなお マラリアには 大きな犠牲を払わされています 毎年3億人がマラリアにかかり 50万人以上が亡くなっています これは 本当におかしなことです マラリアの治療法は 1600年代からあるのですから

0:46 当時 ペルーで イエズス会の伝道師が キナの木の皮を発見し その皮に「キニーネ」と呼ばれる― 現在でもマラリア治療に 使われる薬があったのです つまり 何世紀もの間 マラリアの治療法は知られていたのです 1897年には マラリア予防法も分かりました イギリスの軍医 ロナルド・ロスが マラリアを媒介するのは 蚊だと発見したのです かつては ミアズマと言われる 悪い空気が原因と思われていました ですから マラリアは 比較的簡単に解決できるはずなのです でも 今でも 何十万もの人が 蚊に刺されたことが原因で 亡くなっています なぜでしょう? この問いに 長い間 私は関心を持ってきました インド系移民の娘として 育った私は

1:33 毎夏 インドのいとこを 訪ねていました 地元のマラリアに 免疫がなかった私は 毎晩 この暑くて汗まみれになる 蚊帳で寝かされました いとこたちは テラスで寝ることができ 気持ちよい夜風にあたれたのに それが理由で 私は蚊が大嫌いでした でも 私は ジャイナ教の家庭出身で ジャイナ教では 不殺生を厳格に守ります ジャイナ教徒は お肉を食べてもいけないし 草の上も歩いてはいけません うっかり踏みつけて 虫を殺してしまうかも しれないからです 当然 蚊をたたいてもいけません ですから この小さな虫は 私にとって 幼いころから 恐るべき脅威でした それもあって 私は5年かけ ジャーナリストとして

2:20 なぜマラリアが これほど長い間 私たちを苦しめてきたのか 突き止めようとしてきました 私は3つの原因があると 考えています この3つが相まって 4つ目の原因を生み出します それが おそらく 最大の原因でしょう 1つ目の原因は もちろん 科学的なものです この小さな寄生虫が マラリアを引き起こします おそらく 今まで知られている中で 最も複雑 かつ したたかな病原体です この病原体は その半生は冷血動物の蚊の中で そして残りは 温血動物の人間の中で過ごします この二つの環境は 全く異なるもので さらに いずれも 非常に攻撃的です 蚊は 絶えず 寄生虫を追い出そうとしますし 人間の身体も 同様に追い出そうとします

3:06 この小さな生物は そんな包囲攻撃を生き延び さらには 繁栄までしているのです 寄生虫は広まり 巧みに攻撃を逃れる術も身に付けました まず 形態を変えます ちょうど毛虫が蝶になるように マラリア寄生虫も姿を変えます ライフサイクルで 7回もです それぞれの段階で 全く違う姿をしているだけではなく 全く異なる生理機能を持っています つまり 例えば ライフサイクルの 特定の段階にある寄生虫への 特効薬を見つけたとしても 他の段階になったら ちっとも 効果がないかもしれないのです 寄生虫は 私たちの体内に隠れて 検出もされず 気付かれずにいられるのです 何日も 何週間も 何ヶ月も 何年も 場合によっては何十年もです

3:53 この寄生虫は とても大きな科学上の課題ですが 寄生虫を宿す蚊も 同様です たった12種類の蚊が 世界中の ほとんどのマラリアを運んでいて そうした蚊が住む 水のある場所について 多くのことが分かっています 皆さんは こう思うかもしれませんね そんな危ない蚊がいる場所を 避ければいいじゃないかって? 危険なハイイログマが いる場所は避けられますし クロコダイルがいる場所も 避けますよね でも もし熱帯地方に住んでいて ある日 小屋の外を歩いて 家のまわりの やわらかい泥の上に 足跡を残したとします あるいは 飼い牛や豚が 足跡を残します そこへ 雨が降ります すると 足跡は 水たまりになります

4:39 ほら こうして 家のすぐそばに マラリア蚊に最適な住まいを 作ってしまったのです ですから こうした虫を 避けるのは簡単ではありません 私たちは 蚊が住みやすい場所を 作ってしまうのです ただ 普通に生活するだけでです ですから 科学的にだけでなく 経済的にも大きな課題となります マラリアが発生するのは 世界でも 最も貧しく 辺鄙な場所で それには 理由があります 貧しければ よりマラリアにかかりやすいのです 貧しければ 住む可能性が高くなるのは 水はけが悪い 僻地に建つ 粗末な家屋です つまり 蚊が繁殖する場所です 網戸もないことが多いでしょう 電気もなくて 電気が必要な屋内での活動も できないことが多いでしょう 外で過ごすことが増え 蚊に刺されやすくなります

5:25 貧困がマラリアを引き起こすのです でも 今分かっているのは マラリアもまた 貧困を生み出すことです 一つには 収穫の時期に 大打撃を与えます まさに農家が畑に出て 収穫しないといけないとき 熱で家にいることになるのです でも それはまた 他の原因による死も招きます 歴史的にも起こりました 私たちは 一部の社会では マラリアの駆逐に成功しました でも 他が全て同じままだと 悪い食べ物 悪い水 悪い衛生状態によって 結局 人々は病気になります でも もしマラリアをなくせば 他の原因による死も 減るのです 経済学者 ジェフリー・サックスは これが社会にとって 何を意味するのか 実際に数値化しました 社会にマラリアがあれば 経済成長は 毎年1.3%も 抑制されるというのです

6:16 毎年毎年 この病気だけでです ですから これは 大きな経済的課題を提示します というのも もし特効薬やワクチンを 見つけたとして どうやって届けるのですか? 道もなければ インフラもなく 冷蔵できる電気もない場所です 病院も お医者さんもいません でも これらが必要なのは そういう場所なのです マラリアをおとなしくさせるには 大きな経済的課題があります でも 科学的課題 経済的課題に加えて 文化的課題もあります これは おそらく マラリアに関することで 皆が話したがらないことでしょう 逆説的ではありますが 世界で最もマラリアに悩む人たちが 一番 そのことを 気にしない傾向にあります これは医療人類学者によって 何度も確認されてきたことです

7:04 世界でマラリアが多い地域で こんな質問をします 「マラリアについてどう思いますか?」 返ってくる答えは 「死に至らしめる病気で恐ろしい」ではなく 「マラリアは 日々のちょっとしたトラブル」です これは 私自身も経験しました インドの親戚に マラリアの本を書いていると言ったら まるで イボに関する本でも 書いているかのような目で見られました なんで そんな退屈で ありきたりなものについて 書いているの という感じです これは 単純なリスク認識の問題です 例えば マラウイの子どもは 2歳になるまで マラリアに 12回もかかるかもしれません それでも 生きながらえれば 人生でずっと マラリアにかかり続けるでしょう でも それで死ぬ可能性は ぐんと低くなります

7:50 彼女にとっては マラリアは 現れては 消えていくものになるのです 世界のマラリアのほとんどで 実際にそうなのです ほとんどのマラリアは 自然と 現れては消えていきます マラリアはたくさんあって 死に至るのは ほんの一部のケースです それでも この大きな数になる というわけです マラリアの多い地域に 住む人にとっては マラリアはちょうど 温暖な地域に住む 私たちにとっての 風邪やインフルエンザと 同じに違いありません 風邪やインフルエンザは 社会や生活の上で 大きな重荷です でも 私たちは 最も基礎的な予防措置さえ 取っていません 風邪やインフルエンザの 季節になれば それにかかるのは 普通と考えるからです これは マラリア抑制の上での 大きな文化的課題です

8:37 マラリアにかかるのが 普通だと思う人たちを どうやって医者に行かせますか? どうやったら 診断を受けて 処方箋をもらい 薬をもらって それを飲み 虫よけをつけ 蚊帳の中で 眠ってもらうことができますか? この病気を抑制する上での 大きな文化的課題です まとめてみましょう ある病気があります 科学的にも複雑で 経済的にも 取り組むべき課題です また 最も恩恵を被るべき人たちが 最も関心を払っていないこと でもあります これら全てが 最大の問題を生み出します もちろん 政治的な問題です どうやって 政治指導者に こうした問題に取り組ませますか? 歴史的に見ても 答えは「何もしない」です

9:24 ほとんどのマラリア社会は ずっと この病気と共に 生きてきました マラリアへの戦いは 主に マラリア社会の外から 挑まれてきました 身のすくむような政治に 縛られない人たちによってです でも これは 新たな困難の 温床になったと思います マラリアへの 最初の一斉攻撃は 1950年代に始まりました アメリカ国務省の発案でした この取組みは 経済的課題を良く理解したもので 安価で 使いやすいツールを 使う必要があると考え 殺虫剤DDTに注目しました 文化的課題も理解していました 事実 彼らが 恩着せがましくも考えたのは マラリアの危険にある人には 何もさせるべきでないことです 全ては 彼らのために 彼らにしてあげるべきだと でも 過小評価していたのは 科学的課題です

10:10 DDTに大きな信頼を寄せたばかりに マラリアの研究を やめてしまったのです そのDDTが使えないと分かり 世論は DDTに反対するようになりました でも 彼らはどうすればよいか 科学的知見もなく キャンペーンは崩壊し マラリアは再発し 以前よりも ひどくなりました というのも マラリアは 最も辿り着きにくい場所に 最もコントロールが難しい形で 追い込まれたからです 世界保健機構の ある職員は 当時 このキャンペーンを 「公衆衛生分野での史上最大の間違い」 と言いました 最新の取組みは 1990年代後半に始まり 同じように マラリア社会の外から 運営・資金提供されたものです この取組みは 科学的課題を良く理解していて

10:56 マラリア研究も 活発にされています そして 経済的課題も考慮し とても安価で 使い勝手の良い ツールを使っています でも ジレンマは 文化的課題にあると思います 現在の取組みの中心は 蚊帳です 殺虫剤処理がされたもので マラリアのある全地域で 配布されてきました 何百万という単位でです この蚊帳というのは ある種の外科的措置です マラリアと共にある家庭にとって 蚊帳は あまり価値はなく マラリアが予防できるだけのものです それでも 皆に毎晩 蚊帳を使うようお願いしています 毎晩 蚊帳の中で寝ることが 唯一 有効な方法だからです そうしないといけないんです たとえ それが夜風を遮り たとえ 夜中に起きて 用を足すために

11:42 外に出ないといけなくても たとえ 蚊帳を張るのに 家具を全て移動させないといけなくてもです たとえ 丸い小屋に住んでいて 四角い蚊帳を張るのが 難しくてもです 命にかかわる病気と戦うのに たいしたことではありません これらは ちょっとした不便というものです でも マラリアと共にいる人々は そうは考えません 彼らは 全く別の論理で 動いているはずなんです たとえば 想像してください 善意のケニア人が 温暖な地域にいる私たちに こう言います 「皆さん 風邪やインフルエンザを よくひきますね 素晴らしく 簡単に使えて 安価なツールを作りました ただでプレゼントします マスクというものですが 皆さんは 風邪やインフルエンザの季節に

12:29 ただ毎日 マスクを 着けているだけでいいんです 学校や仕事に行くときにもです」 皆さん そうしますか? これこそ マラリア世界にいる人たちが 初めて蚊帳を受け取ったときの 反応ではないかと思うのです 実際 調査によれば 初めて配られた蚊帳のうち 実際に使われていたのは 20%だけでした それも おそらく 過大評価でしょう 蚊帳を配った人たちが 受け取った人に 聞き取り調査したのですから 「お渡しした蚊帳を使いましたか?」と ちょうど ジェーンおばさんが 「クリスマスにあげた花瓶はどう?」 と聞くようなものです ですから おそらくは過大評価です でも 乗り越えられない 問題ではありません もっと教育をして 蚊帳を使うよう説得できます

13:14 今 実際に行われています より多くの時間とお金をかけて ワークショップや研修 ミュージカルや劇 学校集会 これら全てを駆使して 配布した蚊帳を使うよう 説得をしています 効果はあるかもしれません でも 時間も お金もかかります リソースや インフラも必要です これらは 全て 安価で使いやすい蚊帳の あるべき姿ではありません マラリア社会の内側から マラリアと戦うのは難しいですが マラリア社会の外側から 戦うことは 同様に困難なことです 結局は自らの価値観を マラリア社会に 押し付けることになるからです これが まさに 1950年代に私たちがしたことで その取組みは逆効果でした 今 私が言いたいのは

14:00 自らが作ったツールを配布しても それが相手の生活に 役に立つとは限らない場合 同じ間違いを犯す リスクがあるということです マラリアが克服不能というのではなく 私は 克服できると思っています ただ もしこの病気を マラリアと共に生きる人たちの価値観で 戦ったらどうかと言いたいのです イギリスやアメリカの例を見てみましょう 何百年もの間 両国ではマラリアがありましたが ついには撲滅しました マラリアと戦ったからではありません 戦っていません 戦ったのは 悪い道路や住居 悪い下水や 電気がないこと 田舎の貧困です マラリアを生む生活様式と 戦ったのです それにより 徐々に マラリアを駆逐しました

14:50 マラリアを生む生活様式と戦うこと これは意味のあることです 今日 誰もが関心があります マラリアを生む生活様式と戦うこと それは 早くて安く 簡単なものではありません でも これこそが 唯一 前に進める道だと思うのです ありがとうございました (拍手)

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